「青い日々」

50歳からの多幸感あふれる、幸せな生活

大腸がんでガ~ン 〜その⑪「退院」〜

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点滴の針も抜け、8日目にはようやくお腹の管も抜けました。スッキリすることこの上なしです。しかし管もただ引っ張るだけで抜けていきます。けっこう太い管だったので、抜けた穴はどうするのかと思ったのですが、なんとそのままです。穴どうするんですか?そのままで大丈夫なんですか?と先生に聞くと、真面目な顔でそんな大きな穴じゃないから大丈夫とシラッと言われてしまいました。そういうものなんですね、人間の体ってスゴイ。

 

その日の夜は久しぶりに熟睡できました。体が開放された感じ、横になって眠るのがこんなに気持ちいいとは思いませんでした。10日目の日に退院が決まったことも精神的に大きかったのかもしれません。

 

看護師さんは昼の担当と夜勤の担当で交代で対応してくれます。夜勤明けは休日となるようですが、大変な仕事です。8日目の朝だったかな、看護師さんが採血に来てくれました。その看護師さんは手術室まで連れて行ってくれた新人のあの子でした。「手術の時はありがとう」そう伝えると「えー、覚えていてくれたんですか!」とまだ朝の7時に大きな声で喜んでくれました。

 

しかしなにやら緊張の面持ち。病室の治療用ライトを付け(これまで付けたことがなかった)、横になってくださいと言われます。あきらかに手慣れた感がありません。こわごわと採血の儀式が執り行われます。実は僕、血管が薄くて採血されにくいっていつも言われるんですよね、案の定、一生懸命、針を指す場所を探してます。

 

「では、いきます」そう言ってブスッと針を刺しました、まったく血が出ている雰囲気がありません。「このままいきます」そいいうと更に針を深く差し込みます。それでも血は出ていないようです。あきらめて、やり直すことになりました、違う腕でもう一回です。

 

「では、いきます」2回目のブスッです。「このままいきます」更に針を進めます。「やりました、血が出てきました」そう言って看護師さんは血液を貯める容器を見せてくれましたが、まるで点滴のようにポタッ、ポタッと血液がゆっくり垂れています。こりゃいつまでかかるんだろ、そう思いながらも我慢してましたが、途中で血が止まってしまったようです、諦めてまたもややり直し。でここで、看護師さん交代となりました。新人さんは深々と頭を下げて先輩を呼びに行きます。思わず笑わずにいられません。

 

結局その後、先輩看護師さんも2回失敗し、計5回の採血で完了となりました。もう両腕が青あざになっちゃいました。そのあと、廊下で新人さんに会うたびに僕に最敬礼してくれます。まあ、こうやって経験積んでうまくなっていくんだもんね、新人さんの一生懸命さでまったく嫌な思いはしませんでしたので、最敬礼にはVサインで応えるようにしていました。

 

さあ、そんなこんなで待ちに待った退院の日です。朝から荷物をまとめ、いつでも準備万端、そんな感じで家族が迎えに来るのを待ちます。その日は日曜日でしたが、朝早くに教授先生も来てくれました。この先生、実は僕が入院している間、定期回診とは別に、毎日様子を見に来てくれたのです。ある時は手術を終えたばかりのようで、手術着を着て頭にはキャップを付けたままでしたので、思わず笑ってしまいました。先生は、「おめでとう」、そう言って僕とガッチリ握手をしてくれました。思わずジーンときます。

 

11時頃に家族がやってきて、重い荷物を息子に持ってもらい病室を出ます。看護師さんが何人かいましたので挨拶、みんな笑顔で送り出してくれました。ホントいい子たち、なんか名残惜しくなっちゃったけど、これだけ一生懸命看護してもらったんだもの、元気にならなくちゃね、そう思いながらバイバイと手を降って病棟を出ます。

 

こうして僕の12日間の入院生活は終わりました。