「青い日々」

50歳からの多幸感あふれる、幸せな生活

大腸がんでガ~ン 〜その⑩「続・入院生活」〜

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4日目の朝、ヨーグルトが一個、登場しました。ガガーン!チョーうれしいっす。味を噛みしめるように食べます。回診に来た先生にどうですかと聞かれ、ヨーグルトが出たんですよ、と訳のわからないことを言ってしまったくらい嬉しかった。でもその日の朝・昼・晩、すべてがヨーグルト一個。せめて味くらい変えてくれないかな、いい気なもんです。

 

昼間はなるべく歩くようにします。歩くと行っても、もちろん院内、基本は同じ病棟の階をグルグル歩きます。お供するのは点滴やら何やらがぶら下がった台車付きの棒。体から出た管と繋がっているので、一心同体の相棒です。院内にはそんな人達が沢山さまよっています。尿道から管が出ているので、おしっこがたまった袋も一緒です。そんな人ばっかだから恥ずかしいもクソもありません、どちらかというと、そういう患者さんが普通なので、何も持たずにブラブラしている患者さんを見ると違和感があります。慣れって不思議なものだよな、当たり前ってなんだろう、改めてそんなことを感じます。

 

5日目になって熱も下がり、痛み止めも必要なくなりました。大したもんだよな、切腹して数日で痛みがなくなるんだから、人間の体ってスゴイもんだ、ホントそう思います。痛み止めが繋がっていた背中の管も抜いてもらうことになりました、しかし一体どうやって刺さっているんだか、不思議ですが、なんか引っ張るだけで簡単に抜けてしまったようです。一体カラダのどこまで入っていたのだろう。

 

午後になると、おちんちんに刺さっていた管も抜いてもらうことができました。実はずっと気になっていたんです、だって、どう考えても痛そうじゃないですか、おちんちんに膀胱までつながる管が入ってるんですよ、それを抜くなんて、どうやってやるんだろうと。そう思っていたら看護師さんがやってきて、力任せに管を引っ張り抜くではありませんか、オーマイゴッド!看護師さんも目を背けながら引っ張ります。思いのほか痛みはなかったのですが、尿と一緒にひねり出されるような感じでひどく気持ち悪かったです。

 

しかしこの管が外れたことで、大変快適になりました、これまで体を動かすたびにおちんちんに違和感があったので、とてもスッキリです。しかし看護師さんは偉いよな、と本当に思います、管が入っている間、僕の下半身も洗ってくれるのですが、まあ、恥ずかしいったらありません。お風呂も入れないのでお尻の穴まで洗われちゃいました。ほんと申し訳ございません、って感じです。

 

7日目には看護師さんが髪の毛を洗ってくれました。ホントこんなことさせていいのかなって思います。なんで見ず知らずの僕にここまでしてくれるんだろう、不思議に思ってしまいます。看護師さんが何かする時は必ず僕ら患者に同意を求めてきます。そして共感して、その上で処置をしてくれます。介護や看護の仕事はAIに置き換わらないと言いますが、この共感力が大事なのだなと思いました。

 

それからもう一つ思ったのは、やはり看護師さんは看護の仕事、人を助けるというその仕事に「志」を持って望んでいるのだろうと思います。単なる仕事ではないのです、その意義を理解し、自分が担いたいと思い行動しているんだと思います。思わず僕自身の仕事や会社の若い子たちの仕事ぶりを振り返り、こんな仕事ができているのかな、できていないよな、と思ってしまいました。

 

日がたつと看護師さんとも顔見知りになっていきます。他愛もない雑談がとても楽しい、みんな忙しいだろうにありがたいな、そんなことを思います。この頃、同じ病室に入院してきたおじさんがいたのですが、以前、何ヶ月か入院していたらしく、ほとんどの看護師さんと顔見知りです。「久しぶり」おじさんが言うと、看護師さんも楽しそうに「お久しぶりですね」と声を返します。おじさんは、なんと掃除のおばさんとも顔見知り、なんか羨ましいなーと思うんだけど、よく考えると、それだけ病気が続いているということだもんね、僕の感覚も麻痺してるのかなと思いながら、そう思わせる場にしてくれている看護師さんは偉いもんだよなーと改めて思うのでした。