「青い日々」

50歳からの多幸感あふれる、幸せな生活

【ひとり旅】今井浜のいま

 


2月の上旬、恒例のひとりドライブ旅に出かけた

目的地は南伊豆、伊豆半島の最南端は石廊崎に向かう。当日はあいにくの曇り空、それでも向かって左側には、いつもの美しい海。海岸沿いのドライブはなんでこんなに楽しいのだろう。

なんてったって平日だもの道が空いている。気持ちの高ぶり、ココロの余裕がそうさせる。いつでもこんな心持でいたいもの。

途中の熱海では梅が見ごろ、街にはたくさんの観光客、だんだん春が近づいているのだと感じる。

石廊崎ももう近く、弓ヶ浜という浜辺による。道が細くて驚くばかり、前からクルマ来ないでね、お祈りしながら道を進む。たどり着いた砂浜、平日だもの人影はなし。美しい砂浜でココロを和ませる。いったい僕は何を求めているのか、自分でもよくわからん、その時々に身を任せるだけ。

石廊崎に3時ごろ着く、むかし来たことがあるはずだけど覚えていない。クルマをとめて石廊崎灯台まで歩く。断崖絶壁のその場所は、なんか凛として、それでいて荒々しい空気に満ちている。今も昔もこのような場所に人は訪れる。ここでみんな、どんなことを想ってきたのだろう。

その日は今井浜の東急ホテルに宿を取った、若いころ妻と来たことがある。部屋からみるその光景は昔と同じで素晴らしい。

夕焼けに光り輝く海、波の音、部屋の窓を全開にする、ちょっと寒いけど冷蔵庫からビールをとりだす。と思ったら冷蔵庫の中はからっぽ、ルームサービスもないようだ。

よく見ると部屋もそれなりに年季が入っている。自分だってそれなりに年季が入っているはず、時がたつとはこういうことか。

売店にビール買いに行く。やりなおし、海を見ながらビールを飲む、サイコーだ。このためにこの旅に出た、このためにこの宿を選んだ。こういう時に思う、幸せだなー、安い幸せ、結構じゃないか。僕にとっては最高の瞬間。

ホテルの温泉に向かう。おじさんが一人いるだけ、そのおじさんがいなくなると貸し切り状態。そういえばフロントでも若い客はいなかった。年配の人ばかりが目についた、ホテルにも新陳代謝があるのかもしれない。

それでも貸し切り状態の温泉は最高だった。露天風呂だって貸し切り。ハービバノンノ、幸せの言葉。

部屋に戻るとすでに外は真っ暗、波の音だけが聞こえてくる、贅沢な空間。

翌日、早く起きて日の出を見る。そのあとはずっと海を見続ける、コーヒーを飲みながら海を見続ける。こんな時間が日常になったら。そんなことは思わない、非日常があるから日常がある、そう思うから。

チェックアウトは11時、まだ時間はたくさんある、こういう時間が贅沢な時間と知ったのは最近だ。

帰り道も渋滞知らず、土曜日だから伊豆に向かうクルマは渋滞している。それを見ながら横浜に戻る。途中で金目鯛の煮つけを買う。値段も様々、聞くと伊豆近海もの、青森のもの、外国のもの、色々あるらしい。

途中の農協では梅の枝を買う、なんと280円。ぜいたくだな、ホントそう思う。

もう湘南海岸まで帰ってきた、土曜日だものにぎやか。そんな光景をクルマから眺めるのは楽しい。友達同士でにぎやかに、恋人同士が手をつなぎ、サーファーたちが楽しそう、色んな人たちの日常を見るのは楽しい。僕はひとりクルマの中、寂しくなんかない、だって幸せな人を見るのは楽しいから。ほんと楽しすぎる。

次はどこに旅に出よう、名所史跡を巡るだけが旅ではない。何もしない何も目指さない旅があってもいい。なんか人生みたいだ、そんなこと思った。