「青い日々」

50歳からの多幸感あふれる、幸せな生活

大腸がんでガ~ン 〜その⑧「手術」〜

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6:30に起床、さあ、いよいよ手術です。もう矢でも鉄砲でも持ってこいって感じ。8時には教授先生とクールビューティな女医さんが来てくれました。手術室に呼ばれるのは11:30くらいとのこと。10時位に家族がやってきて、手術室に持っていくものなどを確認します。ちなみに手術室に持っていくものにはすべて名前の書かれたシールを貼ります。くつやメガネケースなどすべて、歯ブラシも。なんか遠足以来だなー、お気楽にもそんなことを考えていました。

 

手術用の下着、Tパンツに着替え、足にスパッツを履きます。スパッツはエコノミー症候群防止のためだそうです、手術中とその後は、足をモミモミしてくれる機械に入れておくそうです。至れり尽くせりだよな、そんなこと思います。

 

そんなこんなしていると、看護師さんが来て、「呼ばれました!」ちょっと緊張気味に声をかけて来ます。後でわかったことですが、このときの看護師さん今年の新人さんだそうで、まだ勤めて半年だったそうです、本人もこのシチュエーションに緊張していたんでしょうね。

 

家族と一緒に手術室のある階に向かいます。手術室の前で、ご家族はここまでと言われ、そこから先は僕と看護師さんだけで入ることになります。家族とは、じゃあ行ってきまーす、と多分ぎこちないと思われるだろう笑顔で別れます。みんなも笑顔で見送ってくれました。

 

中に入ると、まず受付などのあるスペース、その先に手術室が何部屋か別れています。僕の手術室はここですと案内され、なかに入るとそこには広大なスペースが、テレビのドラマと違うんだなーそんなことを思いました。すでにたくさんの人がいろんな準備を進めてくれています。クールビューティーの女医さんもゴーグルに手術着、なんか戦闘服みたいな格好をしています。

 

手術着に着替え、台の上に乗るように促されます。そのあとは皆さんチョーテキパキ、ドンドン準備が進みます。まず麻酔医の先生が背中にマーキングし、麻酔を打ち始めます。体を丸めて僕はなすがまま、目線の先に先程の看護師さんが僕の方に会釈をして手術室から出ていく姿が見えました、あー、ひとりになっちゃったな、そんなことを思います。

 

その時、僕の手をトントンと叩くひとが、あの教授先生が来てくれたのです。教授先生を見て麻酔医師さんが、「今日は先生がいるなら百人力ですね」そんな事を言ってくれました、何かすごく安心します。「さあ、じゃあ麻酔入れますよ」との掛け声に応え、「はい、よろしくお願いします!」と返します。たぶん、その2,3秒後、あっという間に夢の中(スゴイもんです、ほんとスゴイと思います)。

 

次の瞬間、「起きて下さーい」という声でからだを揺さぶられ、目を覚まします。お腹が突っ張るような感じがして先程までなかった違和感を感じます。そのままベッドで手術室を出ると、目の端に家族が見えました、自分としては笑ったつもりです。結局手術は5時間近く行われていたようですが、僕的には眠ったと思ったら、すぐ起こされた、そんな一瞬の出来事でした。なんか夢を見ていたのですが覚えていません、起こされた時、なぜだか「やっぱプライオリティが大事」そんなことを思っていて、近くにいた人に言ってしまったのですが、まったく意味不明だったと思います。

 

手術が終わった患者が集められる病室に入ります。すると、なぜだか急激に下腹部が痛くなり、うんちがしたくなります。普段でもたまにありますよね、キューってお腹が痛くなること、あれとおんなじです。お腹の中身は下剤で全部出したはずなのにおかしいよなーそう思いながら看護師さんに訴えると、このままうんちしていいですと、お尻の下にお皿みたいなものを入れられます。

 

えー、そんなこと言ったって、手術で切ったところに力が入らなくて踏ん張ることもできません、もっとなんか手があるんじゃないのと看護師さんにお願いしていると、隣のベッドの患者さんの家族が入ってきました。お父さん頑張ったね、これ大丈夫だよ、とか言う声が聞こえてきます。ますます、この状態でうんちなんてできるわけ無いじゃん、そう思ってると、妻が入ってきました。この状況を訴え、看護師さんにも伝えてもらうのですが、手術後なので薬で便を出すわけにも行かず、様子を見るしかないとのこと。痛みは背中に管を入れており、そこから痛み止めが入れられるので、我慢出来ない場合は、手元のスイッチを押してくださいとのことでした。なので、もうこれしかないと妻と一緒にスイッチを連打しました。

 

痛み止めが聞いたのか、なんとなく落ち着いてきます。妻も家に帰ってもらうことにしました、ちょっと不安だけど家には子供がいるのでしょうがない。そこからはただただ耐える時間。痛み止めのせいでしょう頭もボーとしており、お腹にも違和感がある、狭いベットの上、体には何やら色んな管が入っているから、横を向くこともできません。ただただ仰向けの状態まま時間がすぎるのを待ちます。一体いま何時なんだろう、そんなことを思いながらとにかく朝が来るのを待ちます。朝が来ればきっと良くなってるはず、そんな思いで時間が経つのをずっと待っていました。

 

こういう時は本当に時間が立たないものです。まだか、まだか、と思いながら本当に本当に長い時間をを過ごします。何度、朝が来たと思ったかわかりません。そんな時間を何度も繰り返し、へとへとになって、そんなこんなで、ようやく朝が来ました。うんちがしたい状況はなくなりましたが、全体的に気分はよくありません、お腹も変な痛みが続いています。唇を触るとカサカサを通り越し、皮膚がフニャフニャになっていました。看護師さんにお願いして口をゆすがせてもらい、少しだけ生き返った気がします。

 

しばらくして、少し歩いてみようということになりました。それどころじゃないよというのが正直なところですが、部屋の外まで出てみることにします。背中から痛み止めの管、お腹から太めの管、そしておちんちんからも管が出ています。まったく尿意は感じませんが、尿は出ています。不思議なもんだとおもいながらも、おちんちんから管が出ている感じがとても気持ち悪いです。その管たちを優しく束ねながら、少し歩きます。意外にもそれなりに歩けます、大したもんだよなー、そんなことを我ながら思います。

 

看護師さんが体を拭いてくれ、着替えさせてくれました。その際、おちんちんまで、拭かれ消毒ゼリーみたいなものまで塗られます。管が入ってるのでバイキンが入らないよう消毒するらしいのですが、恥ずかしいったらありゃしない、看護師さんも大変な仕事です。

 

そんなこんなで10時くらいに元の病室に戻ることができました。夕方、教授先生が病室に来て、いま一番つらいことはなんですか、と聞いてくれます。寝れないこと、と伝えましたが、自分ではそう思っているだろうが、少しづつ眠れているから大丈夫と言ってくれます。そして「病気とは辛いこと、それを治すのだから、すこしの辛抱は必要だと思ってください」とはっきり言われ、イタイイタイばっかり言ってる僕は少し恥ずかしくなりました。

 

こうして僕の大腸がんの手術は終わったのです。