「青い日々」

50歳からの多幸感あふれる、幸せな生活

天才が称える天才 〜野村克也「イチローの功と罪」〜

 

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 野村克也さんの「イチローの功と罪」という本を読んだ。とても面白かった。野村元監督って、なんか暗いというか、月見草というか、ひねくれものと言うか、理屈っぽいと言うか、そんなイメージだけど、実は天才、大打者であって大監督だと思う。

 

気合や根性が重要視された時代に、科学的に物事を俯瞰的に見ることができ、かつ自分自身も客観的に見られることで、もちろんご自分自身の努力あってこそだけど、球史に残る偉業を達成された方なんだと思う。でもそれにしては、なんか正当に評価されていないような気もしますよね、だからひねくれちゃうのか、しょうがない。

 

この本もそんなひねくれた視点からの考察がいたるところに見られます。野村さんはイチローのことをファンになれない、好きなタイプの選手ではないとハッキリいいます。人を見下しているように見えるとまで言い切ります。なんですけど、イチローのことを間違いなく天才、大天才と絶賛してるんですね。やっぱりひねくれてるんだ、そのひねくれ度合いが可愛くて面白い(可愛くはないか)。

 

野村さんを天才だと行ったけど、この人は努力の天才なんだと思う。努力で数々の偉業を成し遂げてきた人、そんな天才だからわかるんでしょう、真の天才を。長嶋茂雄を天才だと認めたようにイチローも本当の天才だと認めている。

 

そりゃそうだよね、あれだけのメジャーリーグであれだけの偉業を成し遂げたわけだもん、結果もスゴイんだけど、パワー全盛の今の時代にあの細身のしなやかなカラダ、そしてスピードで革命を起こしてしまったんだから、天才と言わずしてなんと言うんでしょうね。

 

僕は知らなかったのだけど、イチロー高校野球時代はピッチャーだったんだってね。それでいて打撃成績も凄まじい、5割1厘、本塁打19本、盗塁131個!!!。野村さんはヤクルトの監督時代だったので、こんなスゴイ選手を見逃していたスカウトを怒りつけたそうです。でも他の球団も目につけていなかったのですから、当時のオリックスを褒めるべきなんでしょうね。

 

ひとつ面白いことが書いてありました、野球は3割バッターで一流と言われる、つまりそんな一流でも7割は失敗している、というか7割も失敗してもいい、そんなスポーツなんて他にないんじゃないかと言われています。なるほど、確かにそのとおりですよね。野球、しかもバッティングはそれだけ難しいスポーツなんだと野村さんは言われているのであります。

 

どんなに大天才の超一流バッターでも7割は失敗していると思うと、なんか大天才が身近に感じてきますよね、気のせいですけど。だからそんな大天才のイチローであっても、そんだけ失敗しているのだから、そんなにカッコつけないで、もっと人間味を出せよと、と野村さんはハッキリ仰るのでしょう。なるほどね。

 

しかし素直じゃないね、この人。この本を読むと、実は長嶋茂雄イチローに憧れている野村さんの本音もチラチラ見えたりします。努力の天才だから真の天才を知るということなのでしょう。こんな野村さん、もうお年もお年とは思いますが、有終に高校野球の監督さんでもやってくれないかな、きっと面白いと思うんだけどね。実は人を育てる天才だもんね、まだまだできることいっぱいあると思います!これからも頑張ってくださいね。