最近ニュースを見ていて、残念な気持ちというか、なんかモヤモヤした気持ちがずっと残っていた。カルロス・ゴーンさんの事件についてなんだけど、何がモヤモヤするのか考えてみた。
まず、犯罪の内容やそれが本当にあったかどうかについては、本人自身の問題だし、悪いこと、法律に触れることがあったのであれば処罰を受けるのは当然、徹底的に調べて明確にすればいいことだと思う。
以前もブログに書いたんだけど、あれだけ大きな功績をあげたのに、ゴーンさんも所詮はサラリーマンの経営者、業績残してなんぼの経営者はケチであるべきだから、報酬というかお金に固執して当たり前、自分の理念やら理想を実現しようとする実業家ではなかったということなんだと思う。犯罪が本当なら残念なこと。
僕がモヤモヤしているのはゴーンさん本人に対してではなく、彼を取り巻く関係者の一連の対応について。日産、検察、マスコミに対してです。
まず日産なんだけど、被害者面してるけど、これゴーンさんの個人犯罪ではないですよね、組織的な犯罪。だっていくら偉い人でも、その偉い人に言われたから、何億円もの金を販売店に送金できるわけがない。これだけの大会社なんだから決裁に何十人も関わっているはずです。
それなのに払う必要性のないお金だったなんて、一体どの面下げて証言しているのでしょう、そもそも遵法意識がない、株主訴訟の対象になる職務怠慢ぶりです。
もしもそれが、CIOリザーブとか言って、ゴーンさんの個人的な権限で使えるお金としていたなら、そんなものが存在すること自体が会社としての体をなしていません。それこそ株主をバカにした話、普通の会社なら、経営者が間違った判断、法に触れるようなアクションをしないように支え、サポートするのが会社スタッフの仕事です、それを放棄していたという時点でアウト、つまり本件は日産という会社自体の問題なんだよね。
実際、日産自体も起訴されているわけなんだけど、その点について報道でもあまり触れられていないし、責任も追求されていない。会社のコメントも出てこない。司法取引したから良いってもんじゃないですよね。それなのにゴーンさんひとりを悪者にしている時点で、単なるサラリーマンの社内抗争にしか見えない。そんなものに税金使って捜査してもらうんじゃないって感じです。
今回の疑惑だって、サラリーマンが会社の金をちょろまかしたかどうかという、ホントレベルの低い話。ホントなら日産の社内でちゃんと調べて問題があれば処罰して、法的に問題があれば、訴えればいいと言うだけの話なんだと思います。
続いて検察です。ここは悪事をさばく最前線組織ですので、相手が有名人だろうが政治家だろうが、カリスマ経営者だろうが、関係なく何事にも正面から果敢に取り組んでほしい、それが世のため人のためになるというもんですから頑張って欲しいと思います。
でも今回の一連の対応を見ていると、最もモヤモヤ感を強く感じる。まず対応がスマートでない、前時代的に感じます。最も違和感があるのがマスコミへのリーク、これがまた半端ない、それを受けるマスコミもマスコミだけど、世論を誘導しようとしている感がものすごい。
これ実は国民をバカにしています。
もっと正々堂々とやってほしいんだよなー、それだったら応援しますよ、でも今の対応では正直応援できないというか信用できないと感じてしまう。取り調べで何かひどいことしてるんじゃないか、ってそりゃ思っちゃいます。人質司法と言われているけど、テロリストとか殺人犯ならまだしも、経済犯罪でこんなに長期間、そして何回も勾留するのはやっぱりやりすぎだと思います。
極めつけは、今回の四回目の逮捕。朝の6時前ですよ、ゴーンさんまだパジャマ着ていたらしいじゃないですか。なんで指定されたカメラ付きの制限住所で保釈されている人をこんな早朝に勾留しなければならないのか。報道では保釈条件とされたカメラに映らないように捜索したとか(見られて困るような捜索だった?)、公判に向けたゴーンさんの弁護士サイドの資料も持っていったとか(いくらなんでもこんなのあり?フェアじゃない)、奥さんのバスルームにも入ってきたとか、ハッキリ言って異常です。
捜査する係官だってかわいそう、6時前に捜索ということは一体何時に起きて何時から準備していたのでしょうか、残業代や手当はちゃんと払われているのでしょうか、働き方改革法案をなんだと思っているのか、今年度から施行されたはずなのに、これではブラック企業です。
保釈後の逮捕は異例との指摘に、そもそも保釈自体が異例と「検察関係者」のコメントとして報道されていたけど、これ言っちゃいけないですよね。なんでも思い通りにされちゃう、できちゃうってことじゃない。マスコミもちゃんと指摘してほしいと思います。
僕は日本の警察や検察って、本当に優秀で、倫理観や正義感に熱い人達が、骨身を削って働いていると信じているのだけど、今回の対応を見ると、ゴーンさんが裁判で無実にでもなると組織的にまずいから、何が何でもやっつけちゃおうという感を凄い感じる。これが自分だったらと感じるとホント恐ろしい。そう考えると、ゴーンさんって凄いな、と違う意味で感嘆しちゃいますけどね。
いずれにしても、このような対応を組織で指示している人たちの思考回路が、犯罪の摘発が目的ではなく、本件の有罪、そして組織の正当性に重きが置かれてしまっているように感じるのです。そしてその思考回路が先に述べた、日産のサラリーマン組織の自分たちが守られればいい、嫌な奴はいなくなれ、という組織優先的な思考回路と一致しているような気がしてモヤモヤするのです。
そして最後がマスコミ。これが一番頑張れというところです。もうホント嫌になっちゃう、だって検察のリークばっかり報道して、それだからか内容も検察より。そりゃそうだよね、変な記事書いたら検察から情報もらえなくなっちゃうもんね。
でもこれが一番まずい、末期症状だと思います。もっとフェアに、犯罪は犯罪で報じてくれればいいんだけど、前述したような日産や検察の対応についても、きちんと専門家の見解を交えて科学的に報じてくれない。
思惑に乗せられて、世論誘導に加担してどうすんだよ、そんなものに反旗を翻す新聞社があってもいいはずなのに、みんな同じような傾向の報道ばかり、これじゃ報道の談合です。ホント思います、頑張れマスコミ!
僕は日本っていい国だよなーってずっと思ってる。四季があるし、経済的にも裕福だし、みんな真面目で勤勉だし、何より平和だし。他の国だってその国なりの良さがあるんだろうけど、客観的に見て良い国だと思うんだよね、そこに住む僕らは恵まれてるよなと思っている。
でも今回の一連の対応を見ていると、そうかまだ文明国、先進国じゃなかったんだと思っちゃう。欧米に対する劣等感ってみんな少なからず感じていると思うけど、やはり本当に劣っていたんだと再認識せざるをえない。
だからマスコミだって、いつも海外でどのように報道されているかばっかり気にしている。自分たちが正しいのかどうか自信がないからなんだよね。
やっぱり、僕らはもっと成長しなければならないんだ、大人にならなきゃいけないんだ。今一度、客観的に自分たちのことを見て思って、何を改善しなきゃいけないのか、何をしなきゃいけないのか、本質を考えて取り組んでいかなければいけないんだと思う。
欧米に対する劣等感だってあっていい、実際彼らのほうが進んでいることはいっぱいある、だけど卑屈になる必要なんてサラサラない。そしてこれも大事なことだけど謙虚になることが重要、自分たちが全て正しいなんて思っちゃいけない。
偉そうなこと言っちゃったけど、僕らだって自分自身に当てはめて考えるべきだと思う。ちっぽけな僕らだって、仕事やら学業やら、自分が担っていることに真剣に謙虚に前向きに取り組んでいくことが大事なんだと思うから。それが社会全体を良くするってことなんだと思う。
モヤモヤ感じることは多々あれど、そんなことばかりいっていてもしょうがない、自分でできることは自分で取り組むってことですね、青く青くあの空のように青く色んなことを考え取り組んでいきたいと、そんなふうに感じる、桜も満開の今日このごろなのでした。